7月7日は七夕の日。
笹を飾って短冊書いて、折り紙で作った笹飾りも沢山吊るしたら、織女と牽牛が今
年も逢えるように一生懸命にお祈りしましょう。
二人の逢瀬の幸せを、下界の私たちにも分けてもらえるように……
ざぁっと笹の葉擦れの音も涼やかに、夜風が渡っていく。
長さが今ひとつ足りなくて、あちこちピンで留めて何とか結い上げた髪がほつれは
しまいかと、はとっさに手で後ろ頭を押さえた。
風を孕んではためく袖に、朱色の蜻蛉が飛んでいた。
「〜? そっちの飾り付け終わった?」
そのまま風に身を預けて庭で涼んでいたら、奥から彩子が訊いてきた。
「あ、うん。もう終わったよ〜、完璧vv」
そう答えるの目の前には、どこから調達してきたのか立派な笹が二本、木の
杭に結わえ付けられて立っている。
その細い枝には色取り取りの笹飾りが結わえ付けられていて、が今「終わっ
た」と言ったのがこれのことだと言わずとも知れる。
「そっ、こっちも準備は終わったし、煩いのがそろそろ来る頃合だし、バッチリね」
なぜか得意げな彩子が可笑しくて、はクスクス笑いながら頷いた。
「ええっ、何なにナニ?! アンタ達も呼ばれてたの?」
いきなり響き渡ったその声に、期せずして重なる姉妹の溜息。
「当たり前でしょう?」
「近所迷惑を考えろ、仙道」
「つか、お前こそなんで来てんだよ!」
「……ウルセー」
続いて最初の声ほどではなくても聞こえてくる4人分の声に、苦笑が浮かぶ。
「……煩いのが来たわよ」
「来たね」
「しかも全員揃ってるみたいだし?」
「そうみたい」
全く、子供じゃないんだからはしゃぐなっつの。
ぶつぶつ言う彩子と一緒に、は庭から出迎えの為に玄関へ回ろうと足を向け
ると、その手前で勝手知ったる何とやら…の花道と流川を案内人にして既に庭へと
回り込んできていた仙道・神・牧たちとぶつかった。
「いらっしゃい!」
「あんたたち、近所迷惑になるなら今すぐたたき出すわよ」
笑顔で出迎えると挨拶よりも先に警告を発する彩子。
同じ姉妹でこうも性格が違うかと招待客たちの口元に笑いがこぼれる。
だが、仙道と神だけは反応が違っていて。
「さん…」
「ちゃん…」
些か呆然としたような表情だが、その頬に徐々に赤みが増していく。
「どうかしました?」
キョトン、と首を傾げたに最初に反応したのは大方の予想を裏切らず、仙道
だった。
「すっげかわいい!!」
「ひゃあ?!」
効果音をつけるなら「がばぁっ」以外にありえない勢いで抱き締められ、包み込ま
れた体温と体臭に、の思考は一瞬で止まる。
しかし、硬直した身体は幸いにも次の瞬間には救出され、「大丈夫?」との彩子の
問いに正気に戻れば、いつの間にか自分を包んでいるのは姉の優しい腕と嗅ぎなれ
た香水の香りに変わっていた。
「この馬鹿が!」
「痛ぇ!」
がつっと音がして振り向けば、右手を2・3度振りつつ澄ました顔をしている牧の
隣で頭を抱えてしゃがみこんでいる仙道がいて。
更にその周りで花道と流川が鼻息を荒くしている。
ああ、きっと助けてくれたのはこの幼馴染たちなんだろうな、とその光景を見ただ
けでピンと来て、「ありがと」と声には出さずに目線だけで伝えたら、「お前を守
るのは俺たちのシメイだからな!」と花道が笑った。
「だけど、本当に可愛いよ、さん。浴衣、よく似合ってる」
未だ彩子の腕の中にいるにそう囁きかける神に、は「ありがとうござ
います」と頬を赤くしながらなんとか微笑んだ。
「そういう神さんこそ、すごく素敵ですよ?」
「そう? ありがとう」
動じることなく微笑む神は白地に藍の竹柄の浴衣に身を包んでいて。
すらりとした体躯にその浴衣はとてもよく似合っていた。
神だけではない。
仙道は海老茶、牧は緑、花道と流川に至っては白地と紺地の違いはあるものの、同
じ柄の浴衣に身を包んでいた。(といっても、これは二人の浴衣をと彩子で
縫ったからなのだが)
「ホント。皆良く似合ってるわよー」
彩子もうんうん、と満足げに頷いている。
「でも、なんで浴衣指定?」
早くも復活した仙道が問えば、「ウチでは七夕は昔から浴衣で花火と決まってるの」
との返事。も「ねー?」と手にした団扇で口元を隠しながら彩子に微笑んだ。
「早くやろうぜ、花火!」
「うんっ」
「行くぞ」
花道がの右手を、流川が左手をとってさかさかと引っ張っていく。
「あ! ちょっとっ、お前ら俺を置いてくなよっ。ちゃんっ」
「楽しみだなぁ、花火」
そうなると黙っていない仙道が慌てて後を追い、神も内心はどうあれ表面上はあく
までもにこやかについて行った。
「……あいつら、いいトシして」
「まぁま、ここは一つ童心に変えることにしましょうよ」
残された牧が溜息をついたその肩を、慰めるように彩子が叩く。
「そんなに眉間に皺を寄せてると今より更に老けますよ」と続けたので、慰めには
ならなかったようだが……
「牧さーん、お姉ちゃーん、早くー!」
奥から、が呼ぶ声が聞こえてきた。
それに彩子がぷっと吹き出す。
「わかったわかった、今行くから!」
牧の問うような視線に、
「先に全員が短冊書かないと、花火始められないんですよ。そういう決まりなんで」
「……成程」
どうやら後輩たちはすっかり子供に返ってしまっているらしい。
「行きますか」
苦笑した牧が問えば、
「行きましょう?」
彩子が頷いて。
引率者二人もまた、一歩ごとに童心に返っていくのだった。
fin.
==============================
2005年の七夕夢は家族夢となりました。
なんかこう……まとまりのない感じでごめんなさい(苦笑)
仙道「七夕夢、少しでも楽しんでもらえた?
俺としてはもっとちゃんとらぶらぶ出来る
方が嬉しいんだけど、それはこの後の俺の
頑張り次第だよね?
この話を最後まで読んでくれたお礼に、
スタンプラリーのキーワードを教えてあげる。
キーワードは「o」・順番は「8番目」だよ。
頑張ってねv」